NEXs TOKYO

地域連携型スタートアップ支援プログラム

東京都

2023.03.22
NEXs Tokyoマッチング成功事例Vol.2/株式会社ecommit
株式会社ecommit

東京最大のオフィス街を、サーキュラーエコノミーの聖地へ。サステナブルへの使命感が結んだ運命的な提携が実現。

Topic01 ビジネスモデル
モノの循環の仕組みを作る
循環商社
Topic02 マッチング内容
大丸有SDGs ACT5
との提携
Topic03 成果
アライアンス推進
&PR効果

鹿児島発、日本初の“循環商社”である株式会社ecommit(エコミット)は、東京・大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)を起点にサステナブルなアクションを様々な企業連携で取り組む「大丸有SDGs ACT5」と提携し、ポスト型回収ボックス「Re;POST」を活用した資源循環プロジェクトを展開しています(2022年9月〜11月)。今回の提携の意義と成果、そしてNEXs Tokyoが果たした役割について、代表取締役の川野 輝之さんにお話を伺いました。

Topic01

ビジネスモデル

企業・地域・人を繋ぎ、「モノ」を循環させるための仕組みを作る循環商社

事業の特長とecommitならではの強みを教えてください

川野 ecommitは、鹿児島で創業し全国展開する環境ベンチャーで、主に自治体様と企業様に向けたサーキュラーエコノミーの推進サービス「CaaS(Circularity as a Service)事業」を展開し、「モノ」を循環させるための仕組みを構築・提供する循環商社です。 事業内容は、不用品の回収/販促を行う「Re;POST(リポスト)」、廃棄物の再価値化を行う「MINING(マイニング)」、循環商品を生産する「LOOP(ループ)」という3つのサービスを中心に、循環を可視化する「EVP」というSaaSモデルも展開しています。 衣類に限らず、家具、家電、雑貨、農機具、機械、建築資材などのあらゆる「モノ」を対象に、全国約1,300箇所の顧客拠点から回収事業を行っています。また、18の自治体と連携し、クリーンセンターや地域内からまだ使えるモノを救出することで、世の中から廃棄品を減らす「サーキュラーエコノミーの実現」を目指しています。 私たちの強みは、「現場」と「テクノロジー」です。回収管理システムを駆使した全国対応型の回収物流ネットワーク、回収物の経済的価値を最大限に生かす選別ノウハウと販売ネットワークという「循環の現場」を自ら持ち、そして排出からリユース・リサイクルまでの過程をすべて追跡しデータ化するシステムを自社で開発する「テクノロジー」を強みとしています。

モノの循環する仕組み作り」実現のための課題とは?

川野 私たちが取り組む「モノの循環する仕組み作り」の実現には、3つの課題があります。1つ目は「循環させるインフラの圧倒的な不足」。捨てる・売る・買うためのインフラは十分過ぎるほどですが、モノを循環させるための仕組みは足りていません。2つ目は「活動の単独化」。今、日本中でいろいろな企業や自治体が環境活動を行っていますが、それぞれが単独になりがちで横連携していくためのネットワークがありません。3つ目は「消費者に身近な仕組みが無い」。消費者が暮らす中で気軽に「モノの循環」を続けられる仕組みも足りていません。 この3つの課題を解決してこそ、循環の仕組み作りは完成します。その実現のために環境の総合商社となって必要なことはすべて自分たちで何でもやっていこうという意志を込めて「循環商社」を謳っています。

株式会社ecommitが展開する主なサービス

会社概要

株式会社ecommit
代表者
代表取締役CEO 川野 輝之
所在地
〒899-1921
鹿児島県薩摩川内市水引町2803
事業内容
リユース・リサイクルに関する総合商社
URL
https://ecommit-kandk.com/
Topic02

目的

地域ベンチャーの「営業力」と「資金調達」の課題をクリアし、高まるサーキュラーエコノミーの機運を引き寄せるために。

NEXs Tokyoへ参加する前の事業課題と、参加した目的について聞かせてください

川野 弊社は創業から2022年10月で15期を迎えました。SDGsで高まるサーキュラーエコノミーの流れに、この機を15年間で培ったネットワークとノウハウを生かす第二創業期として捉え、今までとは違うスピード感で事業を進めています。その取り組みの中で、課題となるのが「営業力」と「資金調達」でした。 これまでも九州中心に事業を展開し、関東にも進出はしていましたが、スタートアップ界隈のつながりはあまり無く、本格的に東京へ拠点を置いた事業展開はしていませんでした。その結果、鹿児島のベンチャー企業として東京の大手企業とどう接点を作り、アライアンスをどう開拓して行くのかという営業力の部分で大きな課題感を持っていました。 事業を伸ばしていく上で必要になる資金の部分に関しても、資金調達に繋がる企業やベンチャーキャピタル、投資家と知り合う機会を鹿児島に居るとなかなか持て無いという課題がありました。NEXs Tokyo参加の目的は、まさにそういった「営業力」と「資金調達」の接点を築くきっかけ作りのためでした。

Topic03

マッチング

NEXs Tokyoのメンタリングに参加し、大企業との協業を希望。 シナジーの最も高い相手との提携が短期間で実現。 

今回の大丸有SDGs ACT5様との提携の決め手は?

川野 今回、NEXs Tokyoのメンタリングに参加し、大企業との協業を求めている旨を伝えたところ、三菱地所様をご紹介いただきました。2022年の春に大丸有SDGs ACT5様と打合せをスタートして、約2ヶ月でポスト型回収ボックス「Re;POST(リポスト)」活用のゴーサインを出していただきました。そこから、私たちも驚くスピードで、いろいろな細かい条件を即決即断していただきました。 その決め手となったのは、人々の行動変容を目指す方向性や活動を可視化・データ化したいという先方のニーズに対し、応える私たちの事業が強みも含めて非常に親和性が高かったこと。始める段階で先方の「まさにそれがやりたかった」、我々の「まさにそれを実現したかった」というすり合わせをできたのが、とても大きかったと思います。

プロジェクトメンバーの一体感、連帯感も強く、2回目の会議で「大丸有エリアをサーキュラーエコノミーの聖地に!」という合言葉が生まれました。 提携交渉は非常にスピーディーに進みました。NEXs Tokyoのマッチングの精度の高さによるものだと思います。今回の運命的というか必然の出会いを作ってくれたマッチングコンシェルジュの方には本当に感謝しています。

オフィスビルで衣類を回収「Re;POSTプロジェクト」とは

「大丸有SDGs ACT5」の市民参加型アクションとして、東京都千代田区大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)のオフィスビルの共用スペース等を中心にポスト型回収ボックス「Re;POST」設置し、回収した衣類等のリユース・リサイクル事業でサーキュラーエコノミーを推進する資源循環プロジェクト。2022年11月末までに衣類回収5000kgを目指す。集まった衣類は、ファッションロスゼロ実現を目指したプロジェクトである「WEAR to FASHION※」で適正に循環する。 ※「WEAR to FASHION」とは、伊藤忠商事とecommitが行う日本市場における繊維製品の回収サービス 詳しくはこちら

街ぐるみでSDGsに取り組む「大丸有SDGs ACT5」とは

大丸有エリア(大手町・丸の内・有楽町)を起点に、企業や団体の枠を超え、SDGs達成に向けた活動を推進するプロジェクト。2020年5月にスタートし、2022年度は「サステナブルフード」「環境」「WELL-BEING」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コミュニケーション」の5つのテーマをベースに、様々なアクションを展開。2030年のSDGs目標達成に向けて、大丸有内外の企業・団体が連携し、SDGsモデル都市の構築を目指す。 大丸有SDGs ACT5 公式サイト

NEXs Tokyoのマッチングで特に良かったことを教えてください

川野 それは、コンシェルジュの方の丁寧で専門性の高いコーディネートです。まず、我々がどんな企業様と、どんな風に繋がりたいのか、なぜ取引したいのかなど丁寧に細かくヒアリングしていただきました。それを元に「シナジーが一番高い相手はこちらですね」と大丸有SDGs ACT5様をご紹介いただいてトントン拍子に提携交渉が進んだのは、マッチングの精度の高さが一番のポイントだったと思います。

コンシェルジュの方は非常に専門性の高い方で、ご自身も過去に環境分野でプロジェクトに携わった経験をお持ちでしたので、明確なイメージを持ってマッチングしていただけたと思っています。何かできませんかというフワッとした繋ぎ方ではなくて、こういう企業がいて、こういうことが出来るので、こんなことをご一緒できませんかとかなり具体的に繋いでいただけたので、先方としても判断しやすかったと思います。

Topic04

直近の成果

東京の中心地で行うことで高まるPR効果。 一つのマッチングが、いくつものアライアンスへ繋がる。

今回の提携で見込まれる成果について聞かせてください

川野 大丸有SDGs ACT5様とのプロジェクトで設置したポスト型回収ボックス「Re;POST」には、想定以上のお持ち込みをいただいている状態で、消費者の方の関心の高さを改めて実感しています。また、企業様からのお問い合わせも多数いただいていまして、3ヶ月で5件以上の獲得につながれば、これが大きな波となって加速度的に広がっていくのではないかと期待しています。 今回の「Re;POST」を活用した資源循環プロジェクトはリサイクル自体の効果もさることながら、私たちの事業の価値や目指すところを多くの企業様や地方自治体様、生活者の皆様に広く知っていただけるPR効果も大変大きいと思っています。特に、大丸有SDGs ACT5に参加している企業様には、私たちの事業が単なる衣類や不用品の回収で終わらずにデータをしっかり取り扱いCO2の削減量まで可視化していくことや、リユースも単純に全部リサイクルするのではなく、モノとして使えるものを救い出してモノとして次の方にお届けする「目利きの力」を実感していただける貴重な機会になると思っています。

すでに来年度の大丸有SDGs ACT5への参加も決まったそうですね

川野 はい。すでに来年度のアクション計画が進んでいます。今回の拡大版、進化版として、次回は取り扱うモノの幅の面やPRの面でも、より広げていくことを考えています。2022年活動のデータを分析・可視化し、参加企業の皆さんとじっくり協議を重ねてバージョンアップさせた状態で来期に臨めればと思っています。

Topic05

今後の展望

鹿児島発の企業としてのアイデンティティは大切に、 急拡大する事業展開へ向けた体制強化が進む

今後の事業の展望について聞かせてください

川野 今回、大丸有SDGs ACT5にご参加いただいている企業様はもちろん、その他の企業様でこれまでにご縁の無かった不動産業界やショッピングモールなど流通業界などにもアライアンスを広げていくという新しい目標も見えてきました。 今、事業の拡大に備えて人材育成、体制づくりも進めています。2022年の10月から、創業以来のメンバーに新しいメンバーが加わり、今まで培ってきた強みをより高めていける体制ができつつあります。働く場所はどこにいても働ける時代ですが、鹿児島が本拠地であることにこれからもプライドを持ち続けたいと思います。守るべき素晴らしい自然をいつも身近に感じられる地に本社を置き続けることはとても重要で、ビジネス開発の上でも組織づくりの上でも、私たちのアイデンティティ、立ち返る場所として大切にしていきたいと思います。

Topic06

メッセージ

小さな可能性も、大きなチャンスに変わる。 第二創業を含むスタートアップの力になるNEXs Tokyo。

NEXs Tokyoへの参加は正解でしたか?

川野 正直に言いますと、NEXs Tokyoへ参加する前は、マッチングがここまでうまくいくとは思っていませんでした。これまでもこういったプロジェクトに参加して提携先をご紹介いただく機会は何度かありましたが、フワッとした内容で結果に結びつかない経験もしていたので、最初はこんなことが実現できればいいなくらいの感覚でした。でも結果は、期待の3倍、5倍、いやそれ以上の価値がありました。NEXs Tokyoにマッチングをお願いして本当に良かったと思っています。

後に続くスタートアップ企業へアドバイスをお願いします

川野 これからNEXs Tokyo参加を検討中のスタートアップのみなさんは、どんなに小さな可能性でもいいのでNEXs Tokyoにぜひ相談してみて欲しいと思います。小さな可能性も大きくできるチャンスに出会えるはずです。また、起業したばかりのスタートアップだけではなく、私たちのように第二創業として新しい業態へチャレンジをしている企業にとっても、NEXs Tokyoは心強い味方にきっとなってくれますよ。

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