株式会社エニキャリ

代表取締役代表執行役員:小嵜 秀信

所在地:東京都千代田区平河町二丁目5番3号

事業内容:ラストマイル物流DX

URL:https://www.anycarry.co.jp/company/

フィジカルインターネットによる物流革新を実現する、物流DX・物流GXのリーディングカンパニ

事業者や自治体向けに、顧客と店舗と配達者をリアルタイムで自動マッチングが可能なラストワンマイルに特化した配達管理システムを開発・提供

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5年先を進む中国で見た未来

- では、早速、エニキャリさんについてお話しをうかがっていこうと思います。

まずエニキャリ立ち上げのきっかけからお話しさせていただきます。

私は前職、中国の上海で輸入品スーパーのビジネスをしていました。その時代に、WeChat PayやAripayが出てきて社会が一気にキャッシュレス社会になり、それにともない、流通の世界も大きく変わっていく様を目の当たりにしました。

それが、エニキャリの事業を始める大きなきっかけになっています。

具体的に流通の何が変わったかというと、スーパーアプリと呼ばれるアプリが登場し、一つのアプリ内で商品やサービスの購入、決済までできるようになったんです。スーパーアプリの登場で買い物のしやすさが増す中で、流通に関しても、宅配業者を介さずに、商品をお店から購入者の家まで直接届けようとか、注文だけして商品は店舗に取りに行こうといった、顧客のニーズを満たすための様々な取り組みが一気に立ち上がってきました。

エンドユーザーに商品が届く流通の最後の区間、いわゆるラストマイルという部分の自由度が非常に増してきて、それが流通そのものの激変につながったんです。

そして、その新しいインフラを生み出したのは、中国の大手宅配会社ではなく、全てベンチャー企業なんですね。流通を扱うベンチャー企業が一気に大きくなってインフラ化して、ニューヨーク市場やナスダック市場に上場していく、というのをライブで経験しました。

それが、新しい事業を立ち上げようと思った、大きな引き金の一つになっています。

その後、当時携わっていた事業を2017年に売却して、それ以降、東海大学の総合社会科学研究所で客員教授として研究を進めるようになりました。学会での発表や、論文を通じて、中国のeコマースや、中国ではニューリテールと呼ばれる新しい流通の姿というのを発表している時に、仲間がどんどん集まってきまして。

その仲間たちと、2019年に立ち上げた事業がエニキャリになります。

私の体感では、中国の成長と、日本の成長って5年のズレがあるんです。その5年を先取りした事業を立ち上げようということで、スタートしました。

何かしらのビジネス経験があって、その経験をもとにスピンアウトして始めましたとか、新しい事業アイディアを思いついたので前職の仲間を集めて起業しましたというベンチャーは多いんですけど、エニキャリという会社は海外での経験を日本と比較してアカデミックに揉んだものが事業の基礎となっているのが、サービス系の会社としては珍しいと思っています。

ラストマイル領域の全てを可視化するシステムと、それと連携したプラットフォーム

- そんな経緯で立ち上がったエニキャリさんですが、現在の事業展開についてうかがってもよろしいですか?

主にシステムの提供と、そのシステムを用いたプラットフォームの提供を行なっています。

まず、一つ目の「ADMS(アダムス・anyCarry Delivery Management System

)」というシステムに関して。こちらは、一言で言うと、自社の配送管理システムをSaaS形式でご提供しています。自社の配送を効率化し、管理コストを下げるためのシステムです。

配送の効率化というのは、いわゆる省人化です。具体的には、車両やドライバーの数、今どこにいるのか、業務がどこまで進捗しているのか、などを全て可視化し管理することで、配送業務を効率化します。

次に、管理コストの低減について。

物流の世界ってものすごくアナログなんです。例えば、荷物が届いていないというトラブルが発生した時、荷主からオペレーターに連絡があり、オペレーターからドライバーに連絡がいき、ドライバーが電話に出れない場合はLINEなどで連絡をして…って今でもほぼほぼこれなんです。

荷物が今どこにあるか、を把握しているのがドライバーしかいないんです。

- あぁ、たしかに。私事ですが、先日、通販で購入した商品が届かないという事件があったんです。メールでは配送完了の連絡がきているんですが、手元には届いていないので、業者さんに確認依頼を入れたのですが、確認にものすごく時間がかかって大変でした。

それはおそらく、荷物をどこに届けたか、をドライバーに確認するのに手間取ったんでしょう。エニキャリのシステムであれば、ドライバーや荷物がどこに行ったのかはGPSで追いかけているので、オペレーターからドライバーに確認する、という手間を省くことができます。

- それはありがたいですし、配送ミスも減りそうです。

エニキャリのシステムのすごい部分を一言でお伝えすると、配送自体を可視化するためのシステムである、ということです。

以前からある配送管理システムというのは、配送する内容やトラックの管理をする仕組みがあって、それにドライバーが使うためのwebサイトやアプリを後からつけたものになります。車や人員といった、配送リソースの管理ありきのシステムなんですね。

宅配業社のドライバーさんたちがハンディカムのようなものを持っているのって、見たことありませんか?物流って、基本的にはハンディで、システムの中にある様々な情報を読み取って業務を行ってきたんです。そのハンディをスマホに置き換えました、っていうのが今の時代なんですね。

それに対して、我々のシステムは「スマホで何をするのかをベースに、そこでとれるデータをどう管理していくのか」という、アプリネイティブの発想で生まれたシステムです。スマホだけで完結する、そこが他社さんのシステムとは決定的に違う部分になります。

そして、そんなシステムと連携して展開しているのが、もう一つの柱であるプラットフォームの提供になります。全国の様々な配信リソースをシステムと繋いで、可視化する。さらにシステム経由で、今、動ける配送リソースと、配送の依頼をマッチングさせる。そんなサービスです。

一言でラストマイルといっても、その内容は多岐に渡っています。飲食店からの配送もライスマイル、ECサイトの倉庫から商品を運ぶのもラストマイル、企業がお客様に納品を行う企業配と呼ばれるもの、これもラストマイルです。

要は、同じエリアの中に、別の目的を持った車両とか配送リソースが動き回っているんですね。その全ての情報を効率化できれば、物流はもっと効率化します。

このエリアの中に配送員が何人いるのか、その配送員に対して荷物はいっぱいなのか、他の配送依頼を受けることはできないのか。そういったものがこれまでは可視化されておらず、物流に関わる各企業が、各社それぞれのドライバーや車輌の情報をまとめて握っているだけでした。

これをシステムで可視化し、システム経由で空いている配送員に対して配送を依頼することができるのが、我々のシステムとそれを用いたプラットフォームサービスです。

- とある企業が自前の配送リソースがいっぱいだった時に、他社の配送リソースを使って配送を行うというような会社をまたいでの配送依頼を出すこともできるんですか?

それも可能です。

例えば、とあるコンビニエンスストアの宅配サービスは、その会社のサーバーと、エニキャリのサーバーが自動でAPI連携していて、全国の店舗の配送オーダーを我々が受けています。

それとは別に、宅配サービスもやっているとある宅配寿司チェーン店とも我々は提携しています。そのお寿司屋さんでは、アルバイトのスタッフがバイクで配送を行っているんですが、そのお寿司屋さんの配送員に余裕がある時は、エニキャリ経由で前述のコンビニエンスストアの配達依頼データを受け取って、お寿司屋さんの配送スタッフが代わりに配送を行っています。

自社の配送リソースが足りない時は、他社の余っている配送リソースを使って代わりに運んでもらおう、という仕組みです。

- それはお互いにとってWin-Winですね!

他にも、我々のシステムを活用していただいている例として、とあるファストフード企業があります。

その企業では、以前は入ってきたオーダーに対して、どのスタッフがどの車両で配送を行うかというのを人力で差配していたのですが、今はエニキャリのシステムを使って、その部分を自動化しています。

他にも、配達に出ていた配達員が店舗に戻ってくるタイミングに合わせて、エニキャリのサーバーから店舗の調理依頼画面に「今からこれを作って」というオーダーを発信。それを見た店舗のスタッフが調理を始めて、品物を袋にいれた瞬間に、配達に出ていた配達員が戻ってきて、できあがったばかりの商品を配達しに行く、なんてこともできます。

これは、車両や人の可視化だけでなく、どんなルートで配達を行うのが効率的か、というルートの算出・可視化もエニキャリのシステムで行っているからこそできる技です。

しかし、そんな風に自社の配達員が効率化を目指しても、対応できる以上のオーダーが入ることもあるので、そういう時は、前述のように他社の配達員に配送依頼を回しています。

- 以前出演していただいたNEXs Tokyoのインタビュー番組で「三方良し」というお言葉をおっしゃっていたかと思うのですが、まさにそれですね。

政府の資料で、日本の車両積載率の平均率は34%と出ているんですけど、それってもったいないじゃないですか。全ての車両や配送員のリソースを管理し、空いているリソースを適切に振り振ることができれば、その数値って改善するはずなんです。

だからこそ、我々は、システムの提供と、そのシステムと連携したプラットフォームの提供を行なっています。

実は、この二つを両方行なっているのって、物流の世界では我々エニキャリだけなんです。物流のDX化に関わるベンチャーって他にもいらっしゃるんですけど、基本的にはシステムの提供だけを行なっているところがほとんどです。

ただ、持続的な発展をするために、システムの運用だけでは限界があります。そのシステムの限界をサービスで救ってやれる仕組みを持っているのは、日本では当社だけですし、世界中で見ても稀有だと思います。

私たちは、各エリアの配送リソースの可視化を行って、みなさんが自由に使っていただける配送インフラを提供しています。現在、このプラットフォームの対応エリアは全国47都道府県、人口カバー率8割以上ということで、ダントツの網羅率を誇っています。

物流をもっと自由に、さらに便利な世の中に

- エニキャリの今後の展望を教えてください。

ラストマイル領域においては、主に3つの業態があります。一つは店舗からの配送、次に倉庫からの宅配、最後に企業配と呼ばれるBtoBの配送があります。

一つ目の店舗からの配送に関しては、ありがたいことに日本で最大のネットワークにまで成長しております。市場も成長しているので、それに合わせて、エニキャリも成長していくと思っています。

二番目の倉庫からの宅配は今期からスタートしました。ここでも、日本トップです!と言えることを目指しています。そして、最終的には企業配に関しても、我々のアプローチで効率化、管理コストダウンを実現していきたいです。

このように、ラストマイルの3つの業態を我々の手法で最適化し、企業理念でもある「物流DXで最高の顧客体験を実現し、もっと便利な社会を創り上げる」というのを実現するのが、短期・中期的な展望です。

長期的には、サプライチェーン全体の可視化を行い、最適化をはかって、生産人口の減少している日本の物流を救っていきたいです。

物流って、販売物流、調達物流、生産物流の三つに分かれているんです。我々が今取り組んでいる、ラストマイル領域が属しているのは、販売物流です。そこから一つ川上にいくと生産物流があって、さらに川上にいくと調達物流があります。この、物流の流れ全体の可視化を行い、最適化をはかろうというのが、我々の長期目標です。

可視化をすることでもっと物流が自由になる、だから社名もany-carryでエニキャリとしています。いつでもどこでも誰でも自由にものを運べる時代を達成したいです。

知識・経験があるからこそのプログラム活用法

- お話しをうかがっていると、目標に向かって着実に成長を遂げていらっしゃるんだなぁ、と感じたのですが、そのエニキャリさんがNEXs Tokyoのプログラムを受講しようと思ったきっかけはなんですか?

モーニングピッチに出た際に、NEXs Tokyoの運営をになっているデロイトトーマツの方にお声がけいただいたのがきっかけです。

- 実際に受講してみての感想はいかがですか?

すごく勉強になりました。

ファイナンスやエクイティ、法律の部分にしても、他の若いベンチャー企業の方に比べれば経験も積んでいるし、過去、M&Aで企業を買収したこともあるし、それを売却したこともあります。それを自分の会社もそうですし、子会社で入れた会社を売った、なんて経験もしたこともあります。要は、ビジネスに関して一通りの経験値はあると思っています。

ただ、人間、知っている・経験したことがあるからこそ学ばない、ってあると思うんですね。事業をしながら学び直すというのは、大変なことですし。でも、今回、プログラムに参加することで、ある意味、強制的に学びなおしをすることになり、結果、知識の棚卸しができたことはよかったなと思っています。

知識の棚卸し以外にも、例えば、長野県の自治体の方が、自治体とはどういうロジックで意思決定をするのか、ということをお話ししてくださったのは印象に残っています。自治体との連携に関して営業担当や、経営仲間から話をきいたことはあったのですが、決裁する側がどんな理屈で話を進めていくのかを聞く機会はなかなかないので、それを聞けたのはよかったですね。

- ありがとうございました!

NEXs Tokyoの公式Youtubeアカウントでは、 小嵜さんをゲストにお招きしたインタビュー動画の配信も行なっています。そちらもぜひ、あわせてご覧ください。

動画URLはこちら

https://youtu.be/h_jc4Dysf2c?feature=shared